そして、この日は噂のイダヒロユキ講演会です。非正規労働について考える、極私的連続講座になってしまっています。折りしも、国会では「労働契約法」なる悪法が審議され、にもかかわらずマスコミその他の扱いは余りにも少なく、しかし、働く女性の全国センターを中心に逼迫した攻防が繰り広げられているもようです。
イダさんは、「フェミニストに好かれる唯一の男のフェミニスト」という前評判どおりの雰囲気の人であった。時に喋りが落語調になるのがおもしろかったのと、聴衆の多くが企業に勤めるおじさんという状況で、反感を買われやすい内容をうまくしゃべってるな、とは思ったことです。伝道師のようにあらゆる場所で話をしていってほしいと思いました。
彼の主張である「シングル単位の社会」にもちろん異存はありません。目配りもきいています。一点気になる点があるとすれば、女性の妊娠・出産機能、それにともなう生理機能についての評価について(それはおそらく、男女特性論に陥らないための防御なのだとは思われるが)適切であるかどうかと思いました。その価値をほとんどないものと見積もることも可能なのかもしれないが、実は非常に本質的かつ核心的な難問でもあると、私は思うので…いつか議論をしてみたいものです。