むしろ、そもそも必要はない欄ではあった。
出生証明書ー病院や助産院が記載するーの母が、婚姻しているのかどうかは、戸籍係にはすぐにわかることであり、むしろ確認する必要のあることであり、上下のチェック欄の下にチェックさせる心理的プレッシャー、あるいは、上でよかったと、安堵させるしくみとして機能していたのだと思っている。
なぜ、あえて、そんなイヂワルをするのか?
どう考えても不利益な、男に従属する結婚へ、女たちを誘導するため。
生まれた子どもが、お前より以上に不利益なとなるのだぞ、と、脅すため。
そうして、長い間「合理的差別」と言って憚らなかったのだ。
扶養控除という名の税制優遇。金で釣り、社会的差別という制裁もダブルでかけて、
持ちこたえようとしている、この国の形とは、一体なんなんだろう?
これは差別をこうむる側の問題ではない。
そうした、あえてつくり出された犠牲の上に成り立ち、あぐらをかき、抑圧に加担している側の人々こそが、その尊厳を売り渡してしまっている。知らない間にも、という問題なんだと思う。
そう、思うのだよ。